一般的には、心拍は規則正しく打っていると考えられています。

そして、それが健康の証であり、不規則になることが不整脈・不健康であると考えられています。

これは間違いです。

心拍は常に不規則で、脈と脈の間隔(RR間隔)は、速くなったり遅くなったりしているのです。

これを心拍の可変性、もしくは、心拍変動(Heart Rate Variability/HRV)と呼びます。

この心拍変動を心電図で示すと、下図のようになります。

つまり、脈と脈の間隔が、0.859秒、0.793秒、0.726秒のように変動しているということです。

心拍変動は、このように、一拍ごとの心拍数が、速くなったり遅くなったりすることで作り出される変化(リズム、ゆらぎ)のことです。

心拍変動はどうして生まれるのか?

心拍変動は、心拍数が速くなったり遅くなったりすることを繰り返すことで生まれます。

それではどうして、心拍数は速くなったり遅くなったりするのでしょうか?

その答えは、自律神経系における「交感神経」と「副交感神経」の相互作用にあります。

交感神経と副交感神経は、いわば、車の「アクセル」と「ブレーキ」の役割を果たしていて、交感神経が高まると、心拍数はあがり、副交感神経が高まると、心拍数は下がります。

一般的には、ストレス刺激によって交感神経が高まると、自律的に、副交感神経がそれを抑えようと働きます。

強いストレス刺激にさらされると、アクセルとブレーキが同時に踏まれるような事態になり、心拍変動が乱れます。

反対に考えると、交感神経と副交感神経がバランスよく保たれているときには、ストレス刺激がないか、もしくはちゃんとコントロールされているか、ということです。

上記のような生理状態を、学術界ではレゾナンス(resonant state)と呼ばれています。

HRVに関する多くの研究や臨床啓蒙を行っている米国のハートマス研究所は、コヒーレンス(Coherence)と呼んでいますが、基本的には同義です。

心拍変動をコントロールするには?

このように心拍変動は、心拍数の変化(拍動間隔の変化)から生み出されるものであり、心拍数の変化は自律神経に影響を受けます。

一般的には、「自律的に動いている神経」を意識的にコントロールすることはできないと考えられていますが、その例外のひとつが呼吸です。

息を吸うと、アドレナリンが増加して、心拍数があがります。

息を吐くと、アセチルコリンが増加して、心拍数は下がります。

つまり、呼吸をコントロールすれば、自律神経をコントロールできるのであり、その結果として心拍数や心拍変動をコントロールできるのです。

呼吸が自律神経をコントロールする唯一の方法ではないし、また呼吸で自律神経を確実にコントロールできるわけではないものの、多くのひとにとっては、呼吸が一番簡単なコントロール方法であることは間違いありません。

このような理由から、HRV Biofeedbackが活用される場合には、呼吸法の指導が同時になされることが一般的です。

この程度の説明では物足りなさを感じる方もいるかと思いますが、当会の目的は、HRV Biofeedbackの臨床活用であり、このくらいの理解で大丈夫かと思います